従業員とともに(人権・労働慣行)

日本曹達グループは、長期ビジョン「かがくで、かがやく。2030」の主要課題として、「コスト競争力強化・効率化」「海外事業の拡大」「新製品の開発促進と新規事業への進出」を掲げています。これらの戦略の実行にあたり、人材は最も重要な経営資源の一つです。従前から培ってきた強みを存分に活かしながら、さらにイノベーション創出を推進する組織へと変化する必要があります。多様な人材一人ひとりが最大限に力を発揮し、社会の状況変化を捉え、前向きな発想で業務に取り組める環境・組織づくりに向けて、ダイバーシティの推進や人材育成、働きがいと誇りを持てる職場づくりに取り組んでいます。

基本的姿勢
  • あらゆる人の尊厳と人権を尊重。
  • 文化や慣習、価値観の多様性を理解し、差別につながる行為を一切行わない。
  • 多様な人材が生き生きと育つ会社にするために、「ダイバーシティの推進」と「働きがいと誇りを持てる職場づくり」を重点テーマとし、人事制度や運用・システムを積極的に見直し、継続的に改善に努める。

基本的人権の尊重

当社グループは、ISO26000(社会的責任に関する手引)などが取り入れている国際的な人権保護に関する枠組みを支持・尊重し、各国で定める児童労働・強制労働禁止など人権に関する法令を遵守しています。また、労働者の団体交渉権を尊重し、労使の対話を通じて信頼と良好な協力関係を構築しています。

ダイバーシティの推進

グローバルで高い競争力を持ち、持続的に成長し続けるための重要戦略に位置づけているのがダイバーシティです。多様な人材一人ひとりが最大限に力を発揮し、環境変化を捉え、前向きな発想で業務に取り組める環境・組織づくりこそが、新たなイノベーション創出につながると考えています。

ダイバーシティ方針

性別や年齢、国籍、人種、宗教、障がいの有無などに関係なく多様な人が集まり、いろいろな発想を出し合うことで企業を発展させていくために、ダイバーシティ方針を定めています。
日本曹達では、多様な価値観を持った企業集団こそ、新たなイノベーションを生み、グローバルな競争力を向上させる源泉と考え、ダイバーシティの推進を重要な経営戦略として位置づけています。
その取り組みとして、多様な人材を活かす人事諸制度への転換、組織風土の改善、職場環境整備など、ハード・ソフト両面から基盤構築を行い、グローバルで意欲と能力のある人材が生き生きと輝き、持続的に成長・発展できる会社を目指します。

ダイバーシティの推進

2022年度の主な活動

活かす

キャリア開発支援制度

制度の目的

  • 一人ひとりの適性や個性を尊重し、成長を支援することにより、チャレンジ精神を高め、自律的なキャリア形成を促す。
  • 個の成長とともに、適正な配置を行うことにより、組織力の最大化を目指す。
    • キャリア開発支援制度の説明動画の掲示(2022年7月)
    • キャリア研修の実施(2022年6月)
    • キャリアビジョンシートの作成、上長面談の実施(2022年8月〜10月)
    • 上司と部下のコミュニケーション促進・キャリア面談の実施(2022年9月〜10月)
      対象者(基幹職の新卒~入社15年目相当)の上司面談実施率 実績:98.3%
      対象者(基幹職の入社5年目・10年目・15年目相当)の人事面談実施率 実績:100%

女性活躍推進

  • 当社は、女性にとって働きやすい職場づくりを進めるとともに、女性が活躍できる職場環境の構築にも取り組んでいます。「女性活躍推進法」に基づき、一般事業主行動計画を策定し、その取り組みの結果、2018年8月に「えるぼし」認定を取得しました。
続ける
  • 社内報にてダイバーシティの記事掲載を継続(2016年11月~)
  • 各種階層別研修にてワークライフバランス、ハラスメントの講義実施(通年)
  • 各拠点にて有給休暇取得促進策を展開
  • 当社は、ワークライフバランスの推進に取り組んでいます。「次世代育成支援対策推進法」に基づき仕事と子育ての両立支援に関する行動計画を策定し、その取り組みの結果、「くるみん」認定を2020年10月に取得しました。
「くるみん」認定
増やす
  • 採用強化(通年)
  • キャリアと働きやすさにフォーカスを当てた採用説明会の実施、採用関連サイトの更新、障がい者採用
風通しの良い職場とは?「心理的安全性」・コミュニケーションのヒント・データで見るダイバーシティ・誰にでもある「無意識の偏見」

多様性の受容

性別や年齢、国籍、人種、宗教、障がいの有無、新卒・キャリア採用にかかわらず、多様な人材の採用を強化し、組織の多様化を進めています。価値観の異なる人の集団をつくることで、個々人の思考の幅や視点を変えるきっかけになると考えています。
多様な価値観を認め、個人と組織の力を高めるために、役員をはじめ各種階層でダイバーシティ研修を行い、意識変革を進めています。

採用者数(男女別)・定着率

採用者数(男女別)・定着率

障がい者雇用者数・雇用率

障がい者雇用者数・雇用率

職場における人権への取り組み

日本曹達グループの全従業員が遵守しなければならない事項をまとめた「日曹グループ行動規範」の中に「人権尊重・差別禁止」を明記し、一人ひとりの人格・個性を尊重し、差別につながる行為は一切行わないことを宣言しています。また、ハラスメントのない健全な職場環境を維持するために、階層別研修や苦情受付窓口の設置などを行っています。

従業員研修

2022年度は、新入社員を含めた各階層の新任者へ向けた研修会でハラスメントに関する講義を行いました。

苦情受付窓口の設置

各事業場に「ハラスメント相談受付窓口」を設置しています。また、2020年4月より、社外相談窓口として「日曹ハラスメント・人間関係ホットライン」を新設し、通報者のプライバシー保護を高めた相談窓口として拡充しました。

人材育成

日本曹達が今後も持続的に成長していくためには、人材の育成が欠かせません。「自律型人材の育成」を掲げ、職場で行うOJTのほか、各種階層別研修と管理者研修、職種別の専門教育、語学力向上や資格取得に向けた自己啓発支援など、多様なプログラムを実施しています。

教育体系(階層別研修)

教育体系(階層別研修)

キャリア開発支援制度

日本曹達では、従業員一人ひとりが高い意識を持って能力開発に取り組み続けていくことが、変化のスピードが速い現代社会において持続的成長を目指すにあたり不可欠であると考えています。その実現への一助とすべく「キャリア開発支援制度」では、主に若手から中堅社員を対象とし、各従業員が5年後、10年後のありたい姿を描くとともに、その実現に向け、自ら能力開発の計画をマネジメントしていくことを支援しています。具体的には、キャリア開発意識を向上させるきっかけとしての「キャリア研修」、ありたい姿を1年に1回描き、見直す機会としての「キャリアビジョンシート」、自己の思いを伝えることによってビジョンをより明確にする「キャリア面談」、これら3つを軸とし、自分自身だけでなく会社の将来をも見据えて価値創造ができる人材の育成を図っています。
また、キャリア開発支援制度の実行性を評価するための指標を「上司面談実施率」と「人事面談実施率」とし、その目標をともに100%と定めています。

研究開発人材の国内外留学・海外研修

最先端技術の習得とグローバルな人脈形成を目的として、国内外への研究留学を実施しており、有機合成や高分子、分子生物学の研究室への派遣を行っています。海外の研究者とともに切磋琢磨することが研究者のレベルアップにつながっており、派遣先とのコラボレーションも期待できます。

また、異文化の中でビジネスを推進するには何が必要かを体感することを目的に、海外研修制度を設けています。研修生は、選抜試験の合格を経て、1年間にわたり語学留学と海外関連企業での実務研修を受けます。そこで得た広い視野とキャリア観をベースに、各部署で活躍しています。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で一時休止していた時期もありますが、次世代リーダー育成のため社外での勤務機会を増やす取り組みは継続していきます。

ノーバス・インターナショナル社への海外研修における展示会サポートにて

ノーバス・インターナショナル社への海外研修における展示会サポートにて、研修生の教育者であるスーパーバイザー(左)とともに

働きがいと誇りを持てる職場づくり

職場満足度の向上

従業員一人ひとりが働きがいを感じ、能力を最大限に発揮できる職場環境づくりに積極的に取り組んでいます。従業員の成長を支援し、自律的なキャリア形成を促しつつ、仕事と私生活との両立を支援するためにはどのような制度や職場環境が望ましいか、労働組合などを通じて職場の声を収集し、残業時間の削減などその対策を講じるとともに、管理職についても効率的な働き方ができるよう振り返りの機会を設けることで、よりよい職場環境の構築を目指しています。

従業員1人当たり年間総労働時間
所定内労働時間(時間) 早出残業時間(時間) 休日出勤時間(時間) 年次有給休暇取得(日) その他の有給休暇取得(日) 1人当たり年間総労働時間(時間)
1,820.7 91.2 3.8 15.6 3.3 1,768.2
  • ※集計期間:2022年度(2022年4月~2023年3月)

ワークライフバランスの推進

出産や育児・介護など生活の変化点においても、就業継続ができる職場環境の整備に努めています。仕事と私生活を両立しながら、健康に働ける職場にするために、就業規則の改定や働き方の改革を進めています。

育児・介護休業取得者数の推移
育児休業取得者数(名) 介護休業取得者数(名)
男性 女性 男性 女性
2018/3 3 4 0 0
2019/3 5 10 1 0
2020/3 4 4 0 0
2021/3 8 6 1 0
2022/3 9 9 0 0
2023/3 17 2 0 0
産休・育児休業取得者数および復職率・定着率の推移
産休・育児休業取得者数(名) 復職率(%) 定着率(%)
男性 女性 男性 女性 男性 女性
2018/3 3(1,130) 6(159) 100 75 100 100
2019/3 5(1,143) 12(168) 100 100 100 100
2020/3 4(1,143) 4(170) 75 100 100 100
2021/3 8(1,220) 6(176) 100 100 100 100
2022/3 9(1,216) 9(179) 100 100 100 100
2023/3 17(1,186) 2(175) 100 100 89 100
  • ※取得者数は産前産後休業・育児休業取得開始期にカウントしています。
    ( )内は男女別の期末従業員総数です。
    定着率は当該期に復職後3年目となった従業員の状況です。

健康保持・増進のための施策

日本曹達では、従業員が心身ともに健康な生活を送れるよう、健康保持・増進に関するさまざまな施策を展開しています。

体の健康

健康保険組合とのコラボヘルス事業を積極的に展開しています。具体的には、特定健康診査、特定保健指導の実施、生活習慣病検診などを産業医の協力を得て実施しています。

心の健康

日本曹達では、すべての従業員を対象にしたストレスチェックを、2015年の労働安全衛生法改正以前から実施しています。また、専門医や臨床心理士、外部機関を通じた相談窓口を整えています。

労使関係と労働条件の改善

労働組合との交渉は従業員との対話の機会であると捉え、時勢に合った労働条件を構築していくべく、話し合いを行っています。職場の声を吸い上げ、現場の問題点や課題を労使で都度話し合える環境を構築しています。

労働組合員の状況
労働組合員数(名) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 組合員比率(%)
2018/3 824 37.9 15.8 62.7
2019/3 840 37.7 15.6 63.7
2020/3 853 37.9 15.8 65.0
2021/3 940 39.1 16.7 67.4
2022/3 969 39.3 16.6 69.5
2023/3 950 39.4 16.5 69.8
  • ※日本曹達単体