1974年から世界中で使われてきたグリシン系除草剤は、非常に優れた非選択性除草剤です。しかし同じ成分を長期間・繰り返し使用することで、雑草の中に「枯れにくい個体」が生き残り、次第に増えていくことがあります。
これは防除に失敗したのではなく、雑草側が環境に適応した結果です。
オヒシバ
国内での報告事例
※参考文献
(丹野 雑草研究 2021年 66巻1号 P11-15)
除草剤抵抗性雑草研究会など
特に以下の2種類の雑草で、
抵抗性の獲得が顕著に見られます。
本州以南の日なたに生育する一年生雑草。果樹園地・作物畑・野菜畑など広い場所で発生します。
他家受粉で種子生産量が多い
世代交代が早い
⚠ 通常量の約10倍でも枯れない個体が報告
※参考文献
冨永 農業および園芸 2015年 90巻1号 P.126-133
別名イタリアンライグラス。牧草として利用されている植物。野生化し、水田畦畔や小麦畑へ侵入しています。
他家受粉で種子を多く作る
抵抗性の事例報告多数
グリシン系除草剤に対する抵抗性を獲得した
雑草は完全枯死せず、
ナブ乳剤の使用で枯死を確認。
社内試験(散布21日後)において、グリシン系除草剤を含む剤では効果が不十分だったのに対し、
ナブ乳剤処理区では明確な効果が確認されました。
グリシン系除草剤250ml/10a相当
ナブ乳剤150ml/10a相当
ナブ乳剤は1985年に日本曹達が開発した、イネ科雑草専用の茎葉処理除草剤です。
グリシン系除草剤とは異なる生合成経路を阻害することで、抵抗性雑草対策の一つの選択肢となります。
ナブ乳剤はイネ科雑草の脂肪酸生合成に関わる酵素(ACCase)を阻害するので、狙っている経路がグリシン系除草剤とは異なります。この作用機構の違いが、防除体系における使い分けにつながります。
ナブ乳剤(ACCase阻害剤)は、イネ科雑草が新しい細胞を作るために必要な脂肪酸の合成を阻害します。これにより成長点の活動が停止しますが、すでに形成されている葉や茎はすぐには枯れないため、外観の変化はゆっくり現れます。
新しい細胞を作れない状態では、植物は修復や更新ができなくなります。まず成長点が機能を失い、その後、既存の葉や茎も徐々に代謝を維持できなくなり、黄化や枯死へと進行します。
グリシン系除草剤はアミノ酸生合成を阻害して植物全体の代謝を低下させるのに対し、ナブ乳剤はイネ科雑草の脂肪酸生合成を阻害して成長を止めます。この作用機構の違いにより、症状の現れ方にも差が生じます。
3〜5葉期
ナブ乳剤は雑草の生長点を阻害するので3〜5葉期に散布するのが最も効果的です。
種子形成前
(草丈30cm程度まで)
翌年の発生を抑えるため、種子を作る前に散布しましょう。
開花してしまったら
既に開花している場合は、散布2~3日後に刈り取り処分して下さい。(その後再生してくる芽にナブ乳剤が作用します)
除草剤用の少水量散布ノズルを使用すると効果が劣る可能性があるので霧状に散布できるノズルを使用して下さい。
× 不適
少水量散布ノズル
○ 最適
霧状散布ノズル
激しい降雨の予想される場合は使用をさけてください。薬剤が乾く前に降雨があると、薬剤が洗い流されてしまいます。薬剤が乾けば降雨があっても効果があります。
また、作物の上から散布する際は、高温時に散布すると作物が萎れる場合があります。朝夕の涼しい時間帯に散布してください。
× 散布後の激しい降雨
× 高温時の日中
遅効的であり、効果発現が目に見えるまでに7〜10日を要するので、誤ってまき直しなどしないように注意してください。
有効成分は4時間ほどで生長点に到達し、2日後にはすでに生長が停止しています。夏季では7〜10日後、冬季では1か月以降に、雑草の新葉を力を入れずに引き抜くことができれば効いている証です。
ナブ乳剤を散布しても枯れない場合、適用外の雑草である可能性があります。
下記の雑草に散布していませんか?
スクロールすると各生育ステージの写真が見られます。
製品に関してよく頂く質問をまとめました。
A1.
登録作物であれば、どの生育ステージでもお使いいただけます。ただし、作物がしおれてしまうことがありますので、
気温の高い時間帯でのご使用は避けていただくのがおすすめです。
A2.殺菌剤や殺虫剤との混用は推奨しておりません。単剤でご使用ください。
A3.除草剤は投下薬量が重要であるため、このような表記になっています。
適用範囲の中で、散布しやすい水の量で希釈して使用してください。
A4.ナブ乳剤はゆっくり効くタイプの除草剤で、見た目に変化(葉の黄化など)がでるまでに7~10 日ほどかかります。
そのため、早い段階で「効いていない」と判断してまき直しをしてしまわないようご注意ください。
夏季は 7~10 日後、冬季では1 か月以降に、新葉を軽く引いてスポっと抜ければ、効果が出ているサインです。
A5.
散布しなおすと使用回数が1回カウントされますのでご注意ください。
激しい降雨の予想される場合は使用をさけてください。薬剤が乾く前に降雨があると、薬剤が洗い流されてしまいます。
薬剤が乾けば降雨があっても効果があります。
また、高温時に散布すると作物が萎れる場合があります。朝夕の涼しい時間帯に散布してください。
A6.ジョウロは使用しないでください。除草剤用の少水量散布ノズルを使用すると効果が劣る可能性があるので
霧状に散布できるノズルを使用して下さい。
A7.
可能であれば、除草剤用として別の散布機をご使用いただくことをおすすめします。
同じ散布機を使用する場合は、除草剤成分が作物に付着しないよう、
タンク・ホース・ノズルまで十分に洗浄してから使用してください。
A8.
ナブ乳剤は、生育中の雑草に散布し、雑草に吸収されることで効果を発揮するタイプの除草剤です。
そのため、土壌に散布しても雑草の発生抑制効果はありません。
A9.はい、イネ科雑草(オヒシバなど)が生えている部分に散布してください。
A10.
散布液は、散布ムラの調整に利用するなどして、最後まで使い切ってください。
散布液の調製の際は、ラベルに記載された使用量に従って適量調製するようにしましょう。
余った散布液は河川等に流さないでください。
ボトルに残った農薬は、密閉して冷暗所に保管し、早めに使い切ってください。