仕事と社員

A.O.

株式会社日曹分析センター(※) 第二研究部
(取材当時)
2015年入社 新領域創成科学研究科修了

※=日本曹達100%出資子会社

仕事内容

高まる環境への意識、
倍増するデータ要請。

現在、日曹分析センターで、新規化学物質や農薬の環境への影響を調べるため、魚類、甲殻類、藻類、ミツバチなどの生物を用いた生態毒性試験と、試験に使用する溶液などの分析業務を担当しています。新規化学物質や農薬を登録するためには国で定められたガイドラインを満たしたデータを提出する必要があり、さらに日本、アメリカ、ヨーロッパそれぞれにおいて要求されるデータは微妙に異なっています。私たちの役割は、各国のガイドラインを満たす試験設計を行うことですが、近年、世界的に環境への意識が高まっており、要求されるデータ量も以前の倍以上に増えています。また、既存のガイドライン自体も改訂されていくので、常に世界の最新の情報を追い求める必要があります。
私たちの業務は農薬の登録が重要なミッションですが、より安全な農薬を開発するため新薬の探索段階にも関わっています。また、新しい試験手法を確立することや、国や外部機関から試験を受託することもあり、幅広い試験に携わることができています。

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  • 仕事はどうやって覚えたの?

    私は大学院で金属の生態毒性についての研究をしており、その研究対象が金属から農薬に変わったこと以外、大きな違いはありません。しかし、当社では学生時代よりも高度な試験を行うことが増え、より長期的な視野のもとでスケジューリングするようになりました。研究室での経験があるとは言え、たとえば、データの管理方法など、分からないことに遭遇することは多く、そうした時にはすぐに上司や先輩に聞くようにしています。自分で考えて質問すれば、しっかりと教えてくれるので、仕事は覚えやすかったです。

仕事の魅力

今後、日本でも重要性が高まる分野。

生態毒性の分野は、まだ日本ではそれほどメジャーではありませんが、海外では非常に重要視されており、地球を守る分野です。今後は環境意識の高まりにより、日本でも重要性が増していくのは間違いありません。私は生態毒性の分野でエキスパートを目指したいと考えて当社に入社しましたが、まさに期待通りの環境でした。
農薬登録時に生態毒性の分野で要求される試験は、生物が短期間生きられるかという急性毒性試験に始まり、より実環境に近い高次試験まであります。また、高次試験になると、海外などの試験施設に試験を委託するため、語学力も必要となります。当社では幅広い試験の経験および知識を積むことができます。また、当社は試験の信頼性を保証する「GLP(Good Laboratory Practice)」の認可を受けており、国や外部機関からも試験を受託しているため、多種多様な試験を経験することができます。

  • 私の「そーだ!」体験

    従来は哺乳類を用いた長期的な毒性試験で評価していたものを、魚の卵を使って簡易的に評価できる新しい試験の確立および運用に携わりました。試験に要する人員の削減および試験期間の短縮ができ、かつ動物愛護の問題が少ない試験として社内でも高く評価されました。この試験方法を確立するためには他部署との連携が不可欠でしたが、当社のコミュニケーションの取りやすさに加え、所属している部活動で広がった所内の人脈が役に立ちました。

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取材から4年 現在の様子を追跡取材

専門性をさらに高め、
いずれ農薬登録のエキスパートへ。

組織改編により所属が小田原研究所へ移りましたが、引き続き農薬の環境への影響を調べるための研究・試験を行っています。さらに、自身の成長に伴い、農薬登録申請に要求される試験の実施やモニター業務、国内外農薬登録申請書類の作成も経験させてもらえています。農薬登録に関する知識と経験は格段に上がり、新規農薬探索段階における生態影響試験の計画立案ができるようになりました。
今後は、環境影響や生態影響に関する専門性を高めつつ、業務の幅を広げて自らリスク評価を実施したいと考えています。そして、農薬登録のエキスパートとなり、農薬登録全体の戦略を提案できるようになることが目標です。

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社員紹介INDEX